代表挨拶
ワイヤレス電力伝送は、非接触給電、無線電力伝送等とも呼ばれるが、21世紀に入りその技術が注目され、これまでワイヤレスで送れるものは情報だけであったものがエネルギーもワイヤレスで送れるという期待感により、現在世界中で様々な研究開発や商品化が行われるようになっている。ワイヤレス電力伝送は磁場を用いた短距離の電磁誘導方式や共鳴送電方式、電磁波、主にマイクロ波を用いた長短距離のマイクロ波無線電力伝送等の方式がある。また周辺の電磁波を「収穫」する電磁波エネルギーハーベスティングという技術もマイクロ波無線電力伝送の仲間と考えてもよい。このような様々なワイヤレス電力伝送技術の実用化を加速するためには、同じ目的を持った企業や大学等の学識経験者、研究機関等が結集して議論する必要がある。我が国のワイヤレス電力伝送の研究の歴史は古く、1980年代よりマイクロ波無線電力伝送の研究が行われ、世界をリードしてきたにも関わらず、ワイヤレス電力伝送の標準化・法制化や実用化では世界に後れを取っている。標準化・法制化等の遅れがさらに研究者・開発者に研究開発の二の足を踏ませ、負のフィードバックとなってワイヤレス電力伝送の実用化の歩みを遅くしてしまっているように見える。そこで我々「ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム」では、今後の発展が最も期待できるマイクロ波無線電力伝送を中心として、ワイヤレス電力伝送の実用化を一歩でも進めたい企業や大学等の学識経験者、研究機関等が集まり、議論する場を提供し、研究開発を加速することで標準化や法制化の手助けを行いたいと考えている。そうすることでワイヤレス電力伝送の正のフィードバックがかかり、ワイヤレス電力伝送の実用化が加速されると期待する。そして本コンソーシアムでは我が国が世界のワイヤレス電力伝送の研究開発のイニシアティブを取るべく、活動をしていきたいと考えている。
(一社)ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム代表/京都大学 篠原真毅